自分方位研究所

日々の活動記録

齋藤浩一著 日本の「英文法」ができるまで

図書館にて英検対策に役立てられそうな英文法の本がないかなぁと書架を眺めていると、題名に「英文法」が含まれる本書を見つけました。今年の5月に発行されたばかりです。
英文法をわかりやすく解説してくれる本なのかな?と手に取ってみると、表紙がアンティークな帆船です。しかも裏も表も全体的に黒っぽい。何か歴史書のような装丁。一般的に参考書や問題集の表紙は、少しでも親しみやすくなるようにとの配慮からなのか明るい感じなので、少し違和感を感じてパラパラと内容を確認してみると、日本人が英語を学ぶ拠り所となる「英文法」を、日本人はどのようにして作り上げていったのかという、まさに「英文法」に特化した歴史書でした。

本書は、(古代)ギリシア語文法から、(中世)ラテン語文法、そして宗教改革を経て18世紀末、英文法が一応完成するまでが第1部として説明されています。

その後、幕末から明治時代全般での「英文法」の発展についての説明。

 

鎖国時代の日本。最初は英語の学習書などなかったはずなのに、どうやって日本人は英語を体系立てて学べるように「英文法」を構築していったのか。

私は、日本人が英語を学習し始めたのは、ペリーの黒船来航からだと思っていましたが、その45年前の1808年、英国船フェートン号の来航で、英語でのコミュニケーションが取れなかったばかりに、この英国船に好き放題やられたことの反省から、英語の研究開始。その後も英米船の来航が続き、英語学は、敵国研究のため「武器としての英語」という意味合いを含んでいたようです。

 

英文法の学習は必要!いや、不要だ!という意見をよく耳にしますが、本書でも、そのことについては詳しく取り上げられており、明治時代ですら、現在と同じように、英文法の要、不要についての議論が盛んにされていた模様。

そんな議論に関係無く、やることはやって英語をモノにして英語世界を渡り歩く人はいるし、その一方で、英文法いるの?いらないの?とふらふらしながらいつまでたっても英語ができない人もいます。

明治の時代から令和の現在まで100年以上、英文法については同じような議論がされ続けており、実際のところどうなの?と聞きたくなります。

英文法。やらないよりはやった方がいいと思うのですが・・・

 

ご参考。本書で何度も言及されている雑誌「英語青年」

「英語青年」1898年(明治31年)創刊。110年間続き、2009年に休刊。その後web版へ引き継がれるが現在は休刊。創刊当時の誌名は「青年」
研究社の公式サイト(以下のリンク)から、ページ上部の横並びメニュー【「web英語青年」紹介】> 【年表・『英語青年』100年の歩み】を開くと、創刊号からの年間くくりでのざっくりとした目次が確認できます。

ボーア戦争勃発、日露戦争など時事関連、また、福沢諭吉、岡倉天心、夏目漱石など、今となっては偉人級の名前も出てきて興味深いです。

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