自分方位研究所

日々の活動記録

吉松隆 著「ドラッカーの時間管理術」 を読む。

通勤時間に悩まされることもなく一日外出せずに過ごしていると、私などは、時間管理についてどうも甘くなってしまいます。毎日が土曜日的な感じで。仕事の納期も、出来上がった時が納期、などというなんとも甘えた時間意識で、成り行きまかせの、時間をまったく管理していない状態が続いています。

自宅での軟禁状態も解除され、ようやく普通に戻りつつある状況で、ふと我に返り、このままではいかんと、再開された図書館に行ってきました。

そして借りてきたのがこの本。

吉松隆(よしまつ りゅう) 著「ドラッカーの時間管理術」

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著者は、組織開発コンサルタント会社代表で、本書は、同社がドラッカーの時間管理に関する企業向けの研修プログラムをまとめたもので、読むだけでなく実際にワークシートに記入し、読者の時間管理トレーニングとして研修に参加しているような効果を得られるようなつくりになっています。

何かをやり遂げようとしたとき、ドラッカーの時間の考え方では、細切れ時間ではなく、まとまった時間を確保しなさいというものがありますが、本書でも、日々の時間の記録を通して、まとまった時間を確保するワークが説明されています。

各ワークや説明の中に、ドラッカーの著書からの引用が掲載されており、さらに深くドラッカーを学ぶための足掛かりとなります。
本書で引用されている主な書籍は以下のものがあります。カッコ内は引用回数で、「経営者の条件」が一番多く引用されていました。

経営者の条件 (9)
明日を支配するもの (4)
未来企業 (1)
未来への決断 (1)
ポスト資本主義社会 (1)
現代の経営 (1)
非営利組織の成果重視マネジメント(1)


その他書籍の引用として

・ドラッカーも注目していた「科学的管理法」(フレデリック・テイラー著)
・「1分間マネジャー」(ケン・ブランチャード著)

組織としての時間管理の説明では、
・サボタージュ・マニュアル(第二次大戦下での米戦略諜報局(OSS)のスパイ用マニュアル)この書は、敵組織に潜入し、内部から崩壊させるやり方についての指南書。書類を作れ、細部にこだわれ、会議や決裁の回数を増やせなど、普通に企業がやりがちな事項が書かれていて興味深いです。

・「カイシャの3バカ」(心理学者 榎本博明著)についても言及されています。3バカとは、会議、規則、数字とのことです。

実際のワークとしては

・自分の強みの書き出しにはじまり、実際にどのように時間を使っているかを記録していくシート(1分単位!)の記入、そしてそれを集計し、何にどのくらいの時間を割いているのかを明確にします。そして無駄な時間をあぶり出し、止めても良い仕事は止めてしまうというようにして、自分の持ち時間を増やしていきます。
そのようにして、ワークを続け、最後は、「あなたは、何によって憶えられたいか?」について答えることになります。
自分のことについて考えることからはじまり、勤務先の中での時間管理について見直し、最後はまた自分の目標、それも全人生をかけての目標について考えることになります。実際、私たちは会社のために働いているというより、自分の人生をより良くして、その延長線上に会社の、また社会の繁栄があるのではないかという気がします。

小手先だけの時間管理テクニックではなく、時間に対する考え方を改めて自分自身に問い直す良い機会を与えてくれる本でした。

最後に、著者が代表をつとめるコンサルティング会社、「合同会社マキシマトレイル」のURLをお知らせしておきます。
https://www.maximatrail.jp/