自分方位研究所

日々の活動記録

大杉潤 著「定年ひとり起業」を読む

退職してから丸4年が経過しました。定職に付かず、無職ぶらぶら状態で4年というわけです。

そのうち何とかなるさと気楽にしていましたが、一向にそのうちは来ず、退職金を食いつぶしている毎日で、このままでは近い将来、資金も枯渇してしまうのは確実。一生このままというわけにもいかず、そろそろケツに火が付き始めました。チロチロと弱火で炙られています。弱火のうちに何とかしたい今日この頃。

というわけで、題名がピピっとくる本がありましたので読んでみました。例によって図書館で借りてきました。

この本、館内の検索システムで探すと、貸し出し中にはなっておらず、該当の棚を探すのですが、見当たりません。また、別の日に行っても同じ。たぶん館内で、ご同輩が読まれているのでしょう。
平日、日中帯の図書館。この本のターゲット読者はたくさんおられます。そして静かに本を読まれています。

そのようなわけで、web予約を使って、リクエストしておきました。すると、すぐに貸し出しOKのメールが届き、無事借りることができました。

前置きが長くなりましたが、さっそく読んでみました。大杉潤 著「定年ひとり起業」

誰向けの本かというと、そろそろ定年。再雇用でいくか、すっぱり退職するか、で悩んでおられる方。または、再雇用で働き始めたけれども、給料は安いし、以前のようには働かせて貰えないしで、くすぶっておられる方には打ってつけ。読んで損はないと思います。

これを読んで「定年ひとり起業」すれば、あなたも月収100万円!とか、景気の良い口先だけの煽り図書などからは、遠く離れた至極真っ当な本です。

著者自身が「定年ひとり起業」で経験したことを、わかりやすく説明された本です。受験での合格体験記の詳細版とでもいうべきでしょうか。

著者は、ご自身のブログで書評も公開、日々更新されており、本書においても、理解を助ける参考図書がたくさん紹介されています。なので、壮大な読書案内という見方もできるのではと感じました。

この本を読めば、「ひとり起業」を実行に移さないまでも、自分の年金についてちゃんと考えたくなるし、自分の今後の身の振り方、このまま会社に依存していくのか、自分で切り開いていくのかについて、流れに任せた思考停止状態から目覚めさせてくれます。

また、家計のキャッシュフロー表(貸借対照表)を作成というワークもあります。これは、自分の家計のお金の流れを可視化するもので、この先、お金について漠然とした不安を抱えておられる方は、一度、自分の家計について洗い出し、作成されることをお勧めします。

さて、著者の提唱する「定年ひとり起業」とは、

  1. 会社員として長く働いた後で、体力、気力のある50代、60代で独立起業。
  2. 個人事業主でいく。原則として自分ひとりで事業を行う。
  3. 自宅を事務所、多額の仕入れ在庫は持たず、借金をしない。低リスクの事業形態。
  4. 厚生年金を確保した上で、年金プラスアルファの収入(月額5万~10万円)
  5. 会社員時代の経験、人脈をフル活用、規模を拡大せずに長く働く。

自分の好きなこと。お金を払ってでもやりたいことを仕事にすることが大前提となります。なぜなら、起業してしばらく(1~2年)は、無収入かも知れず、自分の好きなことでないと、とても続けられないから。

残念ながら、こうすれば、自分の好きなことが仕事にできる!というテンプレートみたいなものは紹介されていませんので、自分で考えるしかないのですが、著者はどうやってそのへんのところをクリアしていったのかが詳しく語られています。また、著者以外に3名の男女の「定年ひとり起業」での成功事例が紹介されていますので、これらを参考にして、自分ならどうするかというヒントにできるかと思います。

 

現在、再雇用は65歳までというのが一般的ですが、今後10年で70歳まで働き、年金受取りは75歳からという時代になるのではと著者は予測しています。

再雇用でヘトヘトになるまで働かされて、退職後、残りの余生を静かに暮らすのか。それとも体力、気力のある60代で自分で事業を開始し、退職期日は自分で決められ、できるなら生涯現役で仕事を続け、元気に生きたいか。

働き方は人それぞれ。安定した再雇用を選ぶというのも尤もなことです。いつまで雇ってもらえるか保証は無いと言われていても、そうそう解雇というのも無いだろうし、社会的信用も得られるし。安定性ということなら再雇用はダントツの安心感だと思います。

世間の流れに沿って、何となく再雇用を選ぶのではなく、「定年ひとり起業」という選択も考慮した上で、積極的に再雇用を選ぶのであれば、今後の仕事に対するやりがい、生き方も良い方向に向かうだろうし、これからも明るい未来が開けて来るのだと思います。

 

最後に、本書でも紹介されている著者の会社のウェブサイトのリンクを張っておきます。

奥様がこの会社の社長。そして著者は、この会社から仕事を請け負う個人事業主という形で仕事をされておられます。本書で実例として語られていた会社が実際に見られるということで、びっくりし、感心しました。

jun-ohsugi.com

 

ご参考ですが、年金について、わかりやすく解説してある厚生労働省のサイトがありました。年齢別の解説がありますので、自分に合った年齢の解説を読まれてはいかがでしょうか。10代から既に年金受給されている方まで5つの世代に分けてそれぞれに合った説明が読めます。

www.mhlw.go.jp