自分方位研究所

日々の活動記録

寮 美千子 著 「あふれでたのは やさしさだった」を読む

童話作家、小説家の 寮 美千子氏の「あふれでたのは やさしさだった」を読みました。
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奈良少年刑務所での収監者更生プログラムの一環で、著者が担当した、絵本と詩の教室の記録です。
犯罪を犯し、心を閉ざした青少年たちでも、きっかけさえあれば、心を開き、回りの人たちとの協調性、人間性を取り戻せるのだという実話。記録です。

本の題名の「あふれでたのは やさしさだった」とは、少年刑務所内での教室を続ける中で、心を開いた生徒たちからあふれでたのはやさしさだったということ。人はだれも元々はやさしさを持っているのだということを身をもって体験した著者の記録。

読んでみて、人間の成長には、家庭の暖かさがものすごく大切なのだということを改めて感じました。

本書では、絵本の朗読とロールプレイ、生徒たちが自作した詩を自分で発表し、みんなで感想を述べあう等の教室での学習で、受講者が例外なく、社会復帰できる足掛かりをつかんでいく様子を紹介しています。
生徒の詩を掲載し、それに解説を付けつつ教室の生徒たちの反応などがよくわかります。

詩というと、「プロの詩人が書いたもの」を思い浮かべますが、ここに掲載されている詩は、詩人でも何でもない少年、青年が書いたもの。しかし、短くとも、はっと驚くような内容もあり、詩を書きたいけれど、どう書けばいいのかわからない・・・というような人が読んでも、気づきを得られると思います。著者の別の本で、 奈良少年刑務所詩集というのもあるので参考にされるといいかもです。