オリバー・バークマン著。「限りある時間の使い方」
日本語訳は 2022年6月発行。
人生は4,000週間という書き出しで始まる本書。えー?ちょっと少なすぎるのでは?と思いつつ、計算してみる。1年は365日。これを7で割ると52週。80年×52週=4,160週。
あと残り20年とすると、1,040週! ちょっとちょっと、あっと言う間に過ぎ去りそうな残り時間。
健康なうちは、無意識に人生は無限に続くと錯覚していますが、実際のところ持ち時間には限りがあります。使い切ったらそれまで。延長はありません。
本書は、効率化するためのノウハウ書というよりも、全体的にタイムマネジメントの哲学書と言った趣があります。
どうしたら、スキマ時間をひねり出すことができるかを知りたいと思って読むと肩すかしをくらうかもしれません。
この本を読み始めたのは、英語の勉強に役立てられないか、何とか効率よく勉強を進められないか・・・そして、いつもやろうとしてなかなか手が付けられない色々なことについて成果が出せるようにするにはどうすればよいか・・・
というようなことの答えを見つけられたらいいなぁというものでした。
そして、その答えは書いてありました。
この本は全14章から成っていますが、その第11章「留まることで見えてくるもの」
何をするにも、忍耐が大切なのだと教えてくれます。
先ずは、美術館にて。一つの絵画か彫刻を3時間じっと見ることで、その作品に対する気づきが得られるという話。
二つ目はp208。自分が機械オンチだと思っていた男性の話を引用します。
ある日、隣人が芝刈機を修理しているところに出くわした。「すごいですね」とペックは言った。「そんなものを修理するなんて、僕には絶対無理ですよ」
すると、隣人はこう答えた。「そりゃ、あんたが時間をかけてないからでしょう」
三つ目。何か問題があると、すぐに解決済みのチェックを入れたがる。
四つ目。小さな行動を着実に繰り返す。
成功している学者の執筆習慣は、ほんの少しの量を毎日続ける。
しかし学生たちは早く仕上げようと焦るあまり、一日中書きまくったり、ある日はサボったり、適切なペース配分ができない。
p212から引用
適切なペースをつかむためのコツは、一日に割り当てた時間が終わったら、すぐに手を止めて立ち上がることだ。
たとえエネルギーがあふれていて、もっとできると感じても、それ以上はやらない。あるプロジェクトに50分間取り組むと決めたなら、絶対に51分やってはいけない。もう少しだけやりたいという欲望は、ボイスに言わせれば、「終わらない状態への不満や、生産性が上がらないことへの焦り」を反映したものにほかならない。
途中で思いきってやめることで、忍耐の筋肉がきたえられ、何度もプロジェクトに戻ってくることができる。そのほうが長期的に見れば、ずっと高い生産性を維持できるのだ。
五つ目。バスターミナルのたとえ話。p213
一つのバスターミナルに20数個の行き先別プラットフォームがあり、そこから出発するバスは途中までまったく同じ経路を通るという。
道中が面白く無いからと途中で引き返して、別の行き先バスに乗っても、途中までは同じ道を通る。
目的地に進むためには、バスを降りてはならない。
私はこのバスの例えを、取っかえ引っかえする単語帳や問題集みたいだなぁと思いました。
以上の中で、特に「適切なペースをつかむためアドバイス」にビビっときた気がします。
成果を焦らず、明日もやるのだ。