自分方位研究所

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逢坂冬馬 著「同志少女よ、敵を撃て」を読む

今年2月に豊島晋作氏が「テレ東ワールドポリティクス」で、ウクライナ危機に関するロシア側の論理について解説されていました。その中で本書「同志少女よ、敵を撃て」についての紹介があり、それではと図書館に予約。ようやく順番が回ってきました。

本屋さんの入口にも看板が!
すみません。図書館で借りました!

本書は、2021年、第11回アガサ・クリスティー賞を受賞しており、巻末には同賞の最終候補5作についての選考者の選評が掲載されています。

で、読みました。

物語は第二次世界大戦の独ソ戦。主人公は16歳の少女セラフィマ。彼女の村がドイツ兵に襲われ、村人が虐殺。彼女もあわやというところでソ連軍に助けられる。その後女性狙撃手として訓練され、実戦へ投入。数々の戦場において、女性狙撃手チームの一員として仲間と一緒に戦うというもの。

狙撃手になるための訓練についても描写が詳しく、競技での標的ではなく、人間を撃つとはどういうことか。技術、精神両面での主人公の成長を追っていきます。

 

物語は、主人公が暮らす、のどかな村での日常から始まりますが、あっというまに地獄絵図に変わっていきます。戦場での場面では、敵の銃弾、砲弾が雨あられと打ち込まれ、隣にいる兵士が即死するなど、うわー、当たりませんようにと祈りながら読むような感じです。常に死がつきまとっており緊張します。

狙撃手というのは、敵に気づかれない所から撃つので安全なのかと思っていましたが、これが戦場となると、自分も敵の狙撃手から狙われているということがよく分かり、読んでいても手に汗にぎります。

占領地での兵士による女性への暴行などについても主人公の女性目線での怒りが感じられ、物語終盤へ引っ張っていきます。

実際の史実に沿って物語は展開されています。いくつか登場する戦闘では、地図と独ソ各軍それぞれの布陣が掲載され、読み進める助けになります。

メインの登場人物は多くなく、巻頭の登場人物表を何度も見返す必要はありませんでした。

 

現在、ロシアのウクライナ侵攻が大変なことになっており、そんな中で、旧ソ連の兵士が主人公の本書はどうなん?ソ連の英雄の話?、ひいては現在のロシア軍目線での侵略の正当化につながるのでは?などと、本書を読む前は、余計なことを考えていましたが、そんな心配は無用でした。少女セラフィマが体験した悲惨な戦場。戦争は悲惨です。一刻も早くこの戦争が終わることを祈ります。

 

ご参考までに、私が本書を読むきっかけとなった動画
「ロシアの論理」で読み解くウクライナ危機【豊島晋作のテレ東ワールドポリティクス】(2022年2月9日)を紹介します。

ロシア目線で、これまでのロシアの歴史について学ぶことができます。わかりやすいです。
この動画のラスト2分前 あたりで、本書 「同志少女よ、敵を撃て」の紹介があります。

www.youtube.com

 

英語漬け(ならいいけど>_<;)の毎日なので、小説は超久しぶり。一気読みでした。
図書館で私が予約したときと比べると、今はかなり予約が増えていて、今からだと順番が回ってくるのは1年以上かかりそうです。