「春の電車」という詩の冒頭部分を覚えていたという話を昨日しました。調べるにあたり「春の電車 春の郊外電車」というフレーズを覚えていたので、そのままグーグル先生に質問してみると、日本語学者の佐々木瑞枝さんの「春の郊外電車」という国語教科書に掲載された文書のpdfファイルが、検索結果トップに表示されました。
開いてみると、「白いつり皮 ぷらん ぷらん」という文字が見当たらなかったので、さらに調べて、木下夕爾の詩「春の電車」を見つけた・・・というのが昨日の話。
きょうはそのついで、と言っては失礼なのですが、佐々木瑞枝さんの「春の郊外電車」について見ていきたいと思います。
手持ちの写真から「春の郊外電車」的なものを見つけてきました。撮影は2020年3月。通り過ぎる電車の窓に注目すると、コロナ対策での車内換気のため、少しずつ開いています。ずっとステイホームではたまらんということで、人けの無い道を選びつつ散歩していたのでした。
さて「春の郊外電車」。国語の教科書8ページ分のエッセイです。エッセイかな?・・・小説では無いと思います。
内容は、4月のある日曜日、お花見に行くために「わたし」と、同僚のイギリス人先生が郊外へ向かう電車に乗り込む。その車内で、たまたま居合わせた一家族の会話を同僚が面白がるというもの。家族間の呼び方について。夫婦なのにお互いを「お父さん」「お母さん」と呼んだり、自分の母親のことを「お母さん」ではなく「おばあちゃん」と呼んだり、はたまた息子のことを「お兄ちゃん」と呼んだり。オチは読んでのお楽しみとします。
文章の最後には、著者の写真が略歴とともに掲載されています。カワイイお姉さんです。キュンとします。(てへ)
お話が終わると、教科書なので「感想を発表し合おう」というワークのページがあります。発表するための要点、注意事項などが書かれています。中学2年生用の教材なのですが、大人でも十分に役立つ、発表のノウハウが詰まっています。
特に感心したのが発表の仕方。原稿暗唱での読み上げでは生きた話し方にならない。簡単なメモを用意し、それを手掛かりにしてその場で言葉をつなげて文を組み立てようとのこと。
新入社員の頃、プレゼン練習で先輩に散々言われた言葉だ。中学生からやらないといけなかったか!
一通り読んでみて、ほうっとため息。さすが国語の教科書だけのことはあると感心した次第です。
ワークではないですが、私も感じたことを少し述べたいと思います。
レベルが低い視点で恐縮ですが、著者である「わたし」と同僚のイギリス人先生との関係、住んでいる家についての疑問です。
文章の冒頭部分。その箇所を引用してみます。
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「四月のある日曜日、ベランダに差し込む光の明るさにつられて、郊外まで出かけてみる気になった。もぐらみたいに書斎にこもりっきりの、同僚のヒギンズ先生に声をかけて。」
「日本に来て三年になるイギリス人の彼は、・・・」
引用ここまで。
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「わたし」のお誘いに、ヒギンズ先生はOKし、二人で電車に乗り込むわけですが、この引用部分から読み取れることは
・日曜日、ベランダという言葉から、「わたし」は勤務先以外の場所にいる。
・書斎にこもりっきりということから、ヒギンズ先生は自分の家にいる。もしヒギンズ先生が大学にいるのなら、書斎と言わずに、研究室と言うのではないか。
私の疑問は、このとき
・この日曜日の朝、「わたし」とヒギンズ先生は、同じ家にいたのでしょうか。
・ヒギンズ先生のことを同僚と言っていますが、実際には夫婦なのでしょうか。夫婦なんだけれども、同じ日本語研究者として「同僚」という呼び方をしているとか。
・それとも「わたし」はヒギンズ先生を電話で呼び出したのでしょうか。
・「家でも仕事」的な人のことを表すとき、普通は「家にこもりっきり」とか「自宅にこもりっきり」とは言うけど、「書斎にこもりっきり」っていうのは外部の人から見たら、書斎でもリビングでも家にこもっていることに変わりはないので、わざわざ「書斎にこもりっきり」とは言わないのではないか。「書斎に」と言う表現は、自分もその家の書斎以外の部屋にいる。・・・と思うのですがどうでしょう?
ここまでにします。「guess (推測する)」(下衆の勘繰り)
「春の郊外電車」は平成5年(1993)~平成8年(1996)の光村図書出版 中学2年生の国語教科書に掲載されていました。
昨日紹介した 光村図書出版のウェブサイト(教科書クロニクル)に題名が出ています。
また、著者、佐々木瑞枝さんのサイトの「アーカイブス」のページにも「国語教科書に載った文」として紹介されています。
桜は「七分咲き」のように見えますが、どうでしょう?