自分方位研究所

日々の活動記録

映画 「新聞記者」観ました。

原作は、望月 衣塑子氏の 角川新書刊「新聞記者」
読んでから観るか、観てから読むかといえば、こちらは読んでから観た方が良いような感じでした。ただ、どうなんでしょう。原作は小説仕立てでは無いので、著者の考え方というか行動が、どのあたりからくるのかが少しわかる程度なのかもしれません。原作を読んでいないのでいい加減なことは言えないですが・・・

私自身は、政治関連ニュースにうとく、映画で取り上げられているいくつかの事件についても、ははーん、あの事件のこと?などと思いつくこともなく、ただ映画の中での事件ということで流しておりました。これはちょっともったいなかったなと反省。

 

政治告発系の映画といえば、米NSAの監視ネットワークを告発した青年を描いた「スノーデン」や、米ワシントン・ポスト社の、ベトナム戦争に関する米政府の非公開報告書の暴露を描いた「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」などを思い浮かべますが、これらは、実話を映画化したものですが、映画「新聞記者」では、導入部分で扱われる事件こそ最近の政治関連の事件を思い起こさせる内容になっているものの、本作品のメインの告発については、私たちが知らない事件になっています。(実話だとすればめちゃめちゃ怖いです。もう、私たちの日本じゃないです)

オープニングでは女性記者の自宅での仕事ぶりが出てきます。薄暗い部屋でノートPCに向かい、大きめのデスクでは、モニタに深夜討論の中継を流しっぱなしにして・・・睡眠時間は3時間(推定)といったところでしょうか。そして、朝はふつうに出社しています。やる人はとことんやるんだなぁと感心してしまいました。

 

題名の「新聞記者」通り、若手女性記者の苦悩と活躍を描いていますが、松坂桃李演じる若手官僚、杉原拓海の行動にこそ、この映画の主題が含まれている気がします。松坂桃李君、最初からずっと困り顔で疲れはて、最後はもう気力無しというところまできていました。ほんとうにお疲れさまです。

杉原が発する「どうして神崎さんが死ななければならなかったのか」という声が、映画を観終わったあとも頭に残ります。死なずに済むやり方はなかったのかと・・・ いや、映画を盛り上げるためには死んでくれないと・・・そうなのかなぁ。

杉原が属する「内閣情報調査室」についての描写も、世論操作とか、こんなこと本当にやっていたら怖いなぁという感じです。どうかフィクションでありますように。

物語は、その先どうなるのという感じで、引き込まれていきますが、最初から最後までトーンは低めです。

私の入った映画館では、年配の人がほとんど。この映画館。今までどんな映画でもガラガラの入りでしたが、今回はほぼ満席に近い状態でした。そして、エンドロールが終わった後、拍手している人が何人かいました。

観終わった後に、爽快感は・・・無かったです。女性記者のがんばりに、拍手したい気持ちはありましたが、物語終盤、「よっしゃ!次いくぞ!」と駆け足の女性記者と「もはや、ここまで。」感どっぷりの若手官僚、松坂桃李君の交差点でのラストシーンには、なんともぐったり感が残りました。

ふつうの新聞記者さん、事件を追いかける記者さんというのは、日常的にこのような状態にあるのでしょうか。私などは新聞記者でなくて本当によかったと胸をなで下ろしてしまいました。