自分方位研究所

日々の活動記録

瀬尾まいこ 著 「傑作はまだ」を読む。

新聞の書評欄に、「引きこもりの小説家が主人公」と紹介されていて、興味を持ち、手にとってみました。
自分も引きこもり同然の生活をしており、引きこもっていても生計を立てられる人物というのは、どのような生活を送っておるのか・・・? というのが知りたいと思ったからです。
題名は「傑作はまだ」・・・ということで、傑作はまだモノにできていないけれど、頑張って毎日を生きているのだ。という日々の暮らしを書いているのかな・・・という期待で読み始めました。
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50歳になる小説家(一人称「俺」)の元へ、息子だと名乗る青年がやってくるところから物語は始まります。

冒険小説的なストーリーならば、やってきた息子はなんらかのトラブルを抱えており、それを主人公が一緒に解決していく・・・というような流れになりそうですが、この物語ではトラブル(と主人公が意識しているかどうかは怪しいですが・・・)をかかえているのは、どちらかといえば主人公の小説家の方。あまりの世間的な常識知らずさに読んでいて哀れに思えてきます。

誰にも迷惑をかけず、世間との交わりも断って、ひっそりと暮らしていたはずですが、突然現れた息子によって、まっとうな光ある方へ導かれていきます。

やってきた息子は、お母さんとの二人暮らしでしたが、あくまでも爽やかな好青年。「俺」を町内会に引っぱり出し、ご近所付き合いも活性化させます。

主人公は養育費として、毎月10万円。息子が成人するまで20年間毎月送り続けていました。その受取り証代わりに、毎月、息子の写真が1枚送られてきます。
なので、突然息子が訪ねてきても、顔は見覚えがあるわけです。

毎月10万円の養育費。東京家庭裁判所のWEBページに「養育費・婚姻費用算定表」がありました。これで確認してみると、そこそこ売れている作家(自営業者)として支払う養育費毎月10万円というのは、妥当なようです。

裁判所|養育費算定表

 

主人公の話しからは「ゆきずりの女」ということしかわからない、散々な言われようの息子の母親ですが、実際のところは・・・

 

当初私が求めていた、スポ根的な主人公の成長ドラマ(どんなんやねん!)的な内容とは違っていましたが、ラストは良いです。読後感もグッド。「よかったな。俺!」と主人公に言ってあげたくなりました。 

 

 この本は、WEBメディア「エンタメステーション」にて2018年12月から翌年1月までに、18回に渡って掲載されました。2019年6月現在まだ読めます。いつまで公開されるのかわかりませんが、ご参考までに紹介しておきます。

エンタメステーションのトップページにアクセスして、一番右上の、虫メガネアイコンをクリックします。

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検索窓が表示されるので、「傑作はまだ」または「瀬尾まいこ」と入力して、検索ボタンをクリック。

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